「焼きいも」の栄養についてシリーズで書いています。今日は食物繊維の話です。
前回のおさらい:食物繊維とは
食物繊維というのは「ヒトの消化酵素によって消化されない食品中の難消化性成分」と教科書には書かれています。
名前のとおり繊維状の物質を指しているように思いますが、最近は見た目の通りの繊維(高分子)以外にも、一部のオリゴ糖や糖アルコールのような形が繊維状でない物質、低分子量の物質もこのカテゴリーに入れるそうです。
サツマイモに含まれる食物繊維
サツマイモに含まれる食物繊維は、水に溶けるものと溶けないもの二種類があります。
水に溶ける食物繊維は「ペクチン」という物質です。これは以前書いた「アミロペクチン」とは別の物質で、「ガラツクロン酸」という糖が重合した多糖です。
水に溶けない食物繊維には、「セルロース」、「ヘミセルロース」、そして「リグニン」があります。セルロースとヘミセルロースは名前が似ていますね。「ヘミ」というのは「半分の」という意味があるそうなんですが、どちらかというとセルロースとは関係がなく、何種類かある多糖をまとめてこの名前にしているそうです。
「セルロース」は植物にとってとても重要な物質です。というのも、セルロースは「細胞壁」を作っている物質、細胞を部屋におきかえると、まさしく「壁」を作る物質です。
実はセルロースとデンプンは兄弟、どちらもグルコースが合体(正しい呼び方は「脱水縮合」)したものです。ところが、デンプンとセルロースはこの合体の仕方が微妙に違う。どれくらい微妙かというと、αとβというほんの一文字の違い、絵でみても「こんだけ?」みたいな違いなんですが、人間の体内にある消化酵素はセルロースを消化することができません。ただ、腸内細菌はこのセルロースを分解することができるため、セルロースも最終的にはエネルギーになります。
※どちらもWikipediaの「グルコシド結合」のページから引用しています
また、いもの「しっぽ」にある筋ですがこれは「リグニン」という物質です。リグニンはとても複雑で大きな物質です。もともと「木材」を表すlignum(リグヌム)というラテン語から付けられたそうです。
食物繊維の役割
食物繊維は人間の消化酵素で分解されないため、エネルギー源にはならず、かつて食べ物としては「かさ増し」くらいの役割しかないと思われていました。
ところが、この食物繊維は、体内にとりまれることは少ないものの、腸内細菌の「エサ」になったり、また噛む回数が増える、唾液が多く出るなど、人間の生理に対する働きかけが多いことから注目されるようになりました。
サツマイモは、ジャガイモ、サトイモと比べても食物繊維が多いことが知られています。また、生のサツマイモよりも、焼いたサツマイモ、すなわち焼きいもの方が食物繊維は多くなるそうです。
以前、当店の通信販売をお求めになった方からこんな感想をいただきました。それをご紹介して今回は締めたいと思います。
毎朝一本ずつ食べていたら、三日目の朝からバナナの形の便通がありました。(いつもはコロコロ型)おならも多めに出る気がしますが、臭くないです。もともと、二日から三日に一度の便通でしたが、その三日目からは毎日出ています。今まで、連続でお芋を食べたことがあるのですが、こちらのおいもと違って自宅でふかしたり、スーパーで「石焼き芋」として売っているものは、端っこが繊維が強くて食べられないんですね。毎度2センチ以上は残していたんです。(右端と左端で、合計4センチ残します。)それが、こちらのお芋は端っこギリギリまで食べられるのですね。そこも違う点なのかなと感じました。