「焼きいも」の栄養についてシリーズで書いています。前回は「糖質(炭水化物)」は滅茶苦茶種類が多い、ということを書きました。今日もその続きです。
合体してできる「糖」
前回まで、おもに「グルコース(ブドウ糖)」について書いてきました。そしてその最後に「合体してできる糖がある」ということを書いて終わりました。
どうやって合体するのか
いままでずっと書いていますので、グルコースを例にして書いていきます。二つのグルコースの水酸基(-OH)から、水素2つと酸素1つを外して、空いた継ぎ手同士をつなぐと、「マルトース(麦芽糖)」という糖ができます。
外してしまった水素2つと酸素1つはどうなるかというと、H2O(水)になります。
この反応を「脱水縮合(だっすいしゅくごう)」といいます。水が外れてしまうので「脱水」なんですね。
脱水縮合という名前は憶えなくてもいいのですが、この「水酸基から水がとれて合体する」というのが、糖のバリエーションを増やしていく必殺技なのです。
この必殺技を知ったとき、私は「水ってスゲーッ!」と感動したのですが、いかがでしょうか……
グルコースをつなげてみたら、こうなった
この「技」(脱水縮合)を使うことで、どんどんグルコースをつなげていくことができます。どんどんつなげて、グルコース何万個という長さでつながってできるのが「デンプン」です。
というわけで、デンプンはブドウ糖が何万個とつながってできるものなのです。
ブロック遊び・ビーズ遊び
ちょっと横道ですが、世の中にある「高分子」と呼ばれるものは、基本的に小さな部品(デンプンの場合ならグルコース)が何万という数でつながってできています。
私は子供のころ、ブロック遊び(舶来品のレゴではなく、国産のダイヤブロックでした)が好きでした。女性だと、色とりどりのビーズを使ってアクセサリーなどを作るのが好きな方もいるかと思います。
「高分子」を作るのも、このブロックやビーズのような感じです。グルコースという小さい部品をつないで、デンプンができるわけです。また、「デオキシリボース」という糖に「A,T,G,C」という四種類の塩基とリン酸をつないでDNAができますが、これは紐に4色のビーズを通して鎖を作るような感じにも見立てられます。
幼いころの遊びの記憶からか、こういう「部品をつないでいろいろなものができる」というところに私は萌えます。
糖の種類
さて、グルコースのような部品から、マルトースやデンプンができると説明しましたが、ここまでのことを整理したいとおもいます。
単糖(たんとう)
グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)のような、それ以上は原子レベルでないと分けられないような単位で存在している「糖」を「単糖」といいます。
単糖は、炭素が3個、4個、5個、6個、7個で構成されているものがあります。焼きいもに入っているのは、グルコースとフルクトース(果糖)です。
二糖(にとう)、少糖(しょうとう)、オリゴ糖
単糖がふたつ合体してできるのが「二糖」です。上に説明した通り、単糖は2個に限らず、3個や4個、5個……と合体しているものもあります。これらをまとめて「少糖」または「オリゴ糖」といいます。
焼きいもに入っているオリゴ糖には、グルコースがふたつ繋がってできている「マルトース(麦芽糖)」、グルコースとフルクトースがそれぞれひとつ合体してできる「スクロース(蔗糖)」があります。
多糖
「少ない」があるなら「多い」のもあるわけで、沢山の糖がつながってできているのが「多糖」です。デンプンは「多糖」に分類されます。
まとめと次回予告
- グルコースが合体して別の糖になる、そのときに水ができる(脱水縮合という)
- グルコースがふたつ合体するとマルトースになる
- さらに、グルコースが何万も合体するとデンプンになる
- 糖にはグルコースのような単糖、マルトースのようなオリゴ糖、デンプンのような多糖がある
- 焼きいもには、単糖、オリゴ糖、多糖のすべてが含まれている
と、ずらずらっと書いていきましたが、この次はこれらの「糖質」の性質について書いていく予定です。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。