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つる切り機

農業の話

栗拾いが終わって、いよいよいもほりの段取りに入る時期になりました。今年は新装備として「つる切り機」を導入しました。

つる切り機とは

サツマイモは地面からつるが伸びる植物です。つるに生えている葉では光合成をしており、デンプンが生成されます。このデンプンがつるを通って根の「いも」部分に蓄えられます。

つるはサツマイモの生育にはとても重要な部分ですが、いざ収穫となるとこれは不要になります。そこで、収穫前にはこれを切って、イモを収穫しやすいようにします。昔は根元から鎌で切り取って、少し離れたところにどかせて収穫をしていました。

最近は「つる切り機」(アイキャッチ画像)というのを使ってつるを切ります。この写真は斜め前から撮影したものですが、前方のカバーに覆われている部分に刃があります。この刃というのが、普通の感覚ですと「これで切れるの?」と疑問に思ってしまうような形になっています。これは「ハンマーナイフ」と呼ばれる刃でして、きれいに切り取るのではなく、砕くような感じでつるをバラバラに切っていきます。バラバラになっていると、切ったつるをどかすことなく次の作業に入れます。

つる切り機はタイヤがとても大きいのですが、これには理由があります。サツマイモはたいてい畝(うね)を作って栽培するのですが、つるを切るときにはつる切り機がこの畝をまたぐようにして通ります。タイヤが小さいとまたげないんですね。

ヤフオク!で購入

つる切り機は新品ですと45万円~というお値段でして、なかなか手が出ません。ヤフオク!で中古品もちょくちょく見かけますが、程度がよさそうなものですと25万円くらい、「まあ動くだろ」というレベルで15万円くらいが相場な感じです。また、遠方ですと送料もかかりますし。

ただ、張っていると見つかるもので、9万円というお値段で「簡単な動作確認しました」と書いてあるものがありました。しかも宮崎県からということで、自分で取りに行けば送料は自分の時間とガソリン代だけです。

タイミングがよく、他に競る方がいなかったのでそのまま落札できました。また場所も車で30分程度のところでした。現地で軽く動作確認をして持ち帰りました。

ガンガン行くつもりだった

つる切り機がほしかった理由に、サツマイモのつる以外の草刈りでも使えるということがありました。以前も書きましたが「私にとって農業とは草刈り」と言いたくなるくらい、草刈りばっかりしていますので、少しでも省力化できるものがほしかったのです。

持ち帰った翌日から、早速雑草刈り用で使い始めました。

つる切り機は一度レンタルで使ったことがありまして、その感覚で「ガンガン」使っていました。意外と切れない草があったりして、余計にエンジンを回したりしていました。

そして使用開始から二日目、突然エンジンが止まってしまいました。

はじめは「ガソリン切れかな?」と思ってガソリンを足してみましたが始動せず。

次に「エンジンプラグがかぶったのかな?」と思って新品に交換してみましたが始動せず。

さらに「キャブレターかな?」と思って外してみましたが始動せず……

手元にある「かゆいところに手が届く農家の機械整備便利帳」を見ると、これはもう農機屋さんを頼む状況になっているようです。

農機屋さんを頼む場合、現場に来てもらうパターンと、営業所に機械を持っていくパターンがあります。現場に来てもらうと出張料がかかるのと、どうせ持ち帰りになるだろうと思ってたので、自分で営業所に持ち込むことにしました。

ただ、なんせ動かない機械ですから、畑の中を押したり引いたりして、軽トラに乗せるまでがキツかったです。

あやうく「安物買いの……」になるところだった

このつる切り機は「オーレック」という会社のものなのですが、ホームページを見たところ一番近い営業所は鹿児島県のようです。しかも「メンテナンスは販売店に依頼」ということでした。

ヤフオクで落とした機械だし、どうしようと思いつつ、ヰセキ農機さんに電話をしました。

「草刈り機の整備をお願いしたいんですけど大丈夫ですか」
「はい、大丈夫ですよ」
「いまから持ち込んでもいいですか」
「はい、大丈夫ですよ」

ということで、持っていって症状を診断してもらうことと、Vベルトがこすれていたので交換をお願いしました。

数日後、担当の方から電話がありました。

「シリンダーが焼け付いてて、新品の部品交換だと15万円くらいします。ただ、古いエンジンなのでもう部品はないそうです」
「いまの部品を磨いたりして付け直すにしても10万円はくだらないかと……」

そして、「オイルのドレンのねじがゆるゆるになってて、エンジンにオイルが全然ない状態だったようです」と言われて大ショック。

先ほど紹介した本には「オイルの点検は基本中の基本」、「オイル切れの場合、エンジンから『カンカン』という独特の異音がする」と書いてあったのです。

私はオイルの点検もしませんでしたし、またヘッドホンでラジオを聴きながらやっていたのでエンジンの異音にはまったく気が付きませんでした。

あーあ、これはもうおしまいのパターンか……と目の前が暗くなったのでした。

さらにヤフオク!

さらに後日、ヰセキの担当の方から電話がありました。対策を考えていてくださったようです。

「同じ型のエンジンを入手して載せ替える、という方法があります」
「古い機械を探してくだされば、載せ替えはします」

私は早速エンジンの型番でヤフオクを見てみました。すると似たような型番のエンジンが見つかりました。

「●●というのは見つかったのですが、それだとだめですか?」
と電話で聞いてみました。

「細かく言うと、エンジンの軸の太さと位置、それから最大出力を出す回転数が一致してないとだめです」
「壊れたほうのエンジンは、最高回転数が△△で、最大出力が□□回転の時で、低回転数の時に最大出力になります」

いろいろ勉強になります。とにかく同じ型でないとだめだなということで、再び探します。

エンジン単体での出品はなかったのですが、「テーラー」という別の農機で同じエンジンを使っているものが見つかりました。

再度電話で確認です。
「××という機械に乗っているエンジンの型番が同じようなんですが……」

後日「これなら大丈夫」というお返事を担当者さんからいただきまして、落札です。

機械自体は安かったのですが、北陸から送られてくるということで、送料のほうがかかるパターンでした(苦笑)
運送会社の営業所まで取りに行き、その足でヰセキ農機の営業所に持っていきました。

経験と知識も込みなら安かった

いまの時期は稲刈りもあるということで、農機屋さんは大忙しです。

のんびり待つことにしてたのですが「さすがにそろそろ進捗を聞いたほうがいいかな」と思ってた頃に電話がありました。

仕上がったということで、今度は届けてくださいました。

説明によると、燃料タンクもさびてダメになっていたので、テーラーについていたタンクに付け替えることにしたが、形が合わないのでいろいろ小細工をするのに時間がかかった、ということでした。

いやいや、本当に手間をかけてくださって、大変ありがたかったです。

しかも、部品代はVベルトの分だけ、あとはオーバーホールの技術料ということで、テーラーの入手費用も含めた修理の総額は6万円くらいでした。もともとの落札価格が9万円でしたから、15万円ということですね。「まあ動くだろ」レベルが買える費用で、整備代と取扱説明込みだと思えば安い価格だと思います。

自動車と違って、農業機械は「定期点検」という仕組みがありません(頼めばやってもらえます)。今回の経験で、メンテナンスはきちんとしないとなと思いました。

あと、農機のメンテはヰセキさんお勧めです! 本当に丁寧に対応してくださいました、ありがとうございます!

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