以前、あるランチミーティングに参加した時のことです。
私が「ほめる焼きいも農家」をしていて、ひとりで栽培もしていて「いも掘りは結構大変です」と話をした時に同席された方からこう聞かれました。
機械は使わないんですか?
使わなくはないんですが、意外と簡単ではないとお答えしました。
サツマイモ栽培で使う機械
サツマイモ栽培で使う機械は、作業工程ごとに
- トラクター
- 畝立てマルチ貼り管理機
- 苗植え機
- 蔓切り機
- イモ掘り機
と各種揃っています。このうち、トラクターと畝立てマルチ貼り管理機、蔓切り機については過去の記事で書きました。
苗植え機はあまり普及していません。この機械は田植え機のような感じで、蔓苗を一本一本植えてくれるのですが、サツマイモの苗は稲の苗と違い形がそろっていません。このため、なかなかうまく植えてくれないこともあるようです。
イモ掘り機いろいろ
イモ掘り機にはいろいろあります。
一番単純なのは、トラクターの後ろにつける「鋤(すき)」です。これはサツマイモを掘りあげるというよりは「土をゆるめる」という役割になります。鋤で一回畝の土をゆるめた後、手でサツマイモを掘りあげます。
次にあるのは、コンベア式のイモ掘り機です。これもトラクターの後ろに装着して使います。先端がサツマイモの下の地面を通り、サツマイモを土ごとコンベアに乗せます。コンベアは格子状になっているので、土は下に落ちますがサツマイモはコンベアの最後まで乗っていて、結果的に地面の上に落ちる形になります。このイモ掘り機が通った後は、サツマイモは畝の上に並んでいるだけの状態になりますので、それを手で拾っていきます。
そして、一番新しく開発されたのが「ポテカルゴ」というイモ掘り専用の機械です。これはトラクターに装着するのではなく、自走します。先端が大きなコンベア上になっており、サツマイモを土ごと掘りあげます。コンベアの上端に行くまでに土は落とされ、サツマイモだけが残ります。またコンベアの先にはサツマイモを収納するかごがついており、作業者は地面に降りることなく、この機械に乗りながら収穫することができます。
※ポテカルゴは松山株式会社(ニプロ)の商品名で、一般名称としては「ハーベスタ」になります。
実は、綾町役場では農業機械の貸し出しをしていまして、なんと「ポテカルゴ」も貸し出し機械リストに入っています!
ただ、この「ポテカルゴ」には大きな弱点と言いますか、私が使うには重大な仕様上の問題点があります。
それは、この機械は「三人で操作する」という仕様なのです。もしかしたら、二人でも大丈夫なのかもしれませんが、一人では操作できません。
と、いうわけで、私が使うのはトラクターの後ろに装着する「鋤」のタイプです。コンベア式のイモ掘り機は、皮を傷つけるリスクがあるので、サツマイモの見た目を気にしている私は使いません。
「AIが仕事を奪う」というが
ここで急に話が変わるのですが、最近のAIの開発は目覚ましいものがあります。ニュースを見ると「人間の仕事が奪われる」という危機感を持つ方も多くいるようです。
確かに、AIの方が向いている仕事もあるでしょうけれども、おそらく農業では、AIに仕事を奪われるのはかなり先になるのではないかと思っています。
というのも、農業の特に「栽培」においては、人手が必要な場面がとても多いからです。これはAIというよりは、動作を伴うロボットの開発にかかっています。
それか、これはあまり嬉しくないのですが「AIに人間が使われる」という未来にはなるのかもしれません。文字通り「手足」の役割を人間がするという未来です。もうちょっとマシな感じだと、先ほどの「ポテカルゴ」を使ってひとりでも効率よく収穫できるようになる未来は割と近いかもしれません。