「農業をやるぞ」と宮崎に移住して以来、これだけは上手になったなと思うことがひとつあります。
それは草刈り。
今日はこの草刈りについて書こうと思います。
草刈りはしんどい
移住して10年を振り返ると、とにかく草刈り・草取りばっかりしていました。
自分がやってきた農作業の少なくとも4割は草刈りだっただろうと思います。
東京に居る頃は全然意識していませんでしたが、植物というのはこんなにもたくましく、また恐ろしいものだったのかと痛感しています。
なんせ、ちょっと目を離すとすぐこの有様。
※実際はちょっとではなく、数週間から一ヶ月くらいの期間です。
綾町は「有機農業の町」という看板を掲げているし、自分もそれに憧れて移住してきたわけですから除草剤は使いません。
ひたすら刈る、引っこ抜く作業を繰り返します。
「日本のひなた」宮崎県というだけあって、真夏の日光は危険といえるほど。
また西日本は夜明けが遅く、早朝に作業をしようにも5時台はまだ暗いのです。
地元の方の話では、夕方にする(夕暮れも遅いので)とのことでしたが、今度は家事が待っています。
家庭の事情もあって、子供たちを学校に送り出した後、結局炎天下で作業をするのですが、当然長時間はできませんでした。
まあとにかくしんどい。
これが「草刈り」という作業です。
草刈りはお金にならない……ならば
農業というのは、育てた作物を売ることで初めて収入になります。
草刈りをするのは、あくまで「栽培の一工程」に過ぎません。
そして、草刈りを沢山やるとより高い値段で売れるかというとそんなことはなく。
逆にほったらかしたら収穫も大変ですし、収量も少なくなるのでマイナスです。
つまり草刈りは「マイナスをゼロにする」という側面があるといえます。
なので、栽培の名人は最初から草刈りなどしないで済むようにきちんとされています。
それでも、畑の周囲は土を裸にはしませんので、やはり草刈りは必要です。
※裸の土は雨などで容易に崩れるので特に田んぼの畦は草を生やして崩れないようにしているのです。
畦の草刈りは、業者に頼めばお金を払わないといけませんが、自分でやってもお給料は出ません。
なんともやるせないじゃないですか。
発想の転換
しかし、ここで嘆いたところで植物が「ああ、成田さんかわいそう。ちょっと伸びるのは遠慮しておこう」とはならないわけで。
発想の転換が必要です。
ここで突然ですが、私の父の話をします。
私の父は建築塗装の職人でして、それこそ真夏の炎天下に屋根に上って塗り替えをしたりもしてきました。
そんな父からよく聞いていたのが、フィットネスクラブのことです。
父曰く「金を払って運動しにいくなんて考えられない」と。
いまになって思えば、フィットネスクラブの運動と塗装の仕事は全然違いますし、塗装の仕事では全身を鍛えたりはできないのでまったく別ものなんですけど、もしかしたら力仕事をしている方は同じ事を感じているのかもしれません。
農作業にしてもそうです。
さすがに鍬や鎌を振ることは少なくなりましたが、草刈り機を肩にかけて2時間歩き回るわけですから、それなりの運動です。
つまり、「『自分がやっているのは、運動』『自分は趣味で草刈りをしているのだ』と思えば良いんじゃないのか!?」ということなのです。
実際、私は怪我をして以来「農作物を販売して収入を得る」ということはほぼ辞めたので草刈りをしても収入は増えません。
だからといって何もしなければ周囲の畑に迷惑をかけますので、圃場の維持管理は続けなければなりませんが、そういう義務感でやるのはきついだけですね。
趣味と思えば、結果責任のレベルはぐっと下がりますし、またやりようによっては楽しくもできるんじゃないかなと思っています。
趣味と実益?
それにしても、何故こんな発想になったのかというと、YouTubeをみたからなんですね。
最近は、農業をやる方もYouTubeで発信するようになりました。
私がたまたま見つけたのは「かぼすTV」というチャンネルです。
お隣の大分県で特産品のかぼすを育てている方のようですが、チャンネルで多いのは「草刈り」の動画。
色々な草刈り刃を試していらっしゃいまして、大変参考になります。
「こんなマニアックな動画、そんなに需要あるのかい?」と思っていましたら、登録者数も再生回数もしっかりあり、なんと収益化もされています。
草刈りが収入になっているのです。
これは凄いですね!
自分もこのレベルにいけたら良いな、いやいきたいなと思いました。
何よりも草刈りをしている動画に需要があるということなのですから。
趣味と実益とはまさにこのことです。
自分がこの記事を書こうと思ったのも「草刈り」に関する内容を読みたい人がいるはずだからです。
※ただ、見つけてもらえるかどうかはわかりません。
これからも草刈りは続けていく
YouTuberになるかどうかはともかく、自分のやっていることで収入を得るというのは素敵なことです。
こういう「たくましさ」は見習うべきだと思いました。
そして、自分の意志とは関係なく草は伸びますし、草が伸びたら刈ってやらないといけません。
そうしないと、本当にとんでもないことになりますから。
どうせやるなら楽しく、そして習慣となるように、これからも前向きに草刈りに取りくもうと思います。