私は「ほめる焼きいも農家」ということで、畑でサツマイモを育てるところから手がけています。
シリーズでつぼ焼きいもの作り方を書いていきますが、今日は「蔓切り・マルチ剥がし」についてです。
大人になって初めて知った事実
「サツマイモ掘りは子供のころにやったことがある」という読者の方が多いと思います。私も、一番古いサツマイモ掘りの記憶は幼稚園の時です。
小さな山(畝のことです)を崩していくと、おいもが埋まっていて、一所懸命に土をかき分けて指にあたるサツマイモの感触にテンションが上がったのを今でも憶えています。
というか、いまでもイモ掘りをしていて、指にサツマイモがあたると嬉しくなりますね。
大人になって、自分で苗を植えて、秋になって収穫をすることになって、
「あれ? 子供の時となんか違う」
と思ったことがあります。
そうです、サツマイモには蔓があるのです。
幼稚園で行く畑や、観光農園の畑は、蔓がすでに片付いている状態でイモ掘りができるようになっています。
自分で作った場合、自分で蔓を片付けます。サツマイモには蔓があるというのは、ごくごく当たり前の事実なんですが、実際目の当りにすると「こんなにあるの!?」と思います。
サツマイモの蔓は、きちんと測ったことはないですが端まで延ばせば2~3メートルは余裕であると思います。しかも途中で枝分かれしています。
これが地面の上にある状態ですと、サツマイモ掘りはすこぶる効率が悪くなります。
昔は、おそらく根元で蔓を切って、畝から離れたところにまとめておいてたんじゃないかと思います。以前ある農家さんからきいた話では、寒くなったころにこの蔓を燃やして暖を取りながらイモ掘りをしたそうです。
今はどうするかというと、「ハンマーナイフモアー」という機械を使って、蔓を短く粉砕するようにして、切った蔓は畝の間で放置します。時が経てばこのバラバラになった蔓は肥料になるでしょう。
この「ハンマーナイフモアー」なんですが、実は使い始めたのが今年。それまではどうしていたのかというと、普通の草刈り機をつかい、蔓を根元からぶった切っていました。
この場合、蔓が完全に粉々にはなりませんが、イモ掘りをする分には支障ありません。
マルチがうまく剥がれると気持ちがいい
蔓切りの後はマルチ剥がしです。
マルチというのは、畝を覆っている薄いビニールのシートですが、これは畝の裾の部分で土をかぶっているため、普通に引っ張ってもはがれませんし、中途半端にちぎれてしまいます。
数年前までは、畝の片側をカニ歩きしながら、少しずつマルチを持ち上げるようにして剥いでいましたが、トラクターと鋤(すき)を手に入れてからは、一度マルチの幅で浅く鋤いてから、手で剥がすようにしました。
春にやった自分の仕事ぶりが如実に反映されるのも、このマルチ剥がしです。どういうことかというと、畝が曲がっているとトラクターもただ「まっすぐ走ってりゃいい」わけではなく、畝にあわせて右に行ったり左に行ったり、ハンドルの微調整の繰り返しになります。
この、剥がしたマルチは町で引き取ってくれます(※有料です) 昔は川に流したり(今では信じられません)、野焼きしたり(※基本的にビニールなどは野焼き禁止です)と凄いことをやっていたようですね。
さて、ここまできて、ようやく「幼稚園で見た」風景になります。
明日に続きます。