「焼きいも」の栄養についてシリーズで書いています。今日は「無機質(ミネラル)」についてです。
無機質=有機じゃないもの
無機質はミネラルともいいますが、どんな栄養素かというと「有機じゃないもの」です。この記事の一つ二つ前に「栄養素は機能で分類している」なんてことを書いていましたが、これだけは思いっきり物質で分類です。ややこしい!
ちなみに、五大栄養素(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、無機質)で、無機質以外は全部有機物です……もうすっかりお忘れだと思いますが、ここでいう有機は「炭素が入っている」物質です。
ま、もうちょっと細かく書くと、無機質と呼ばれるものは、多くは鉱物、常温では固体のものが多いです。そして、酸素、水素、窒素や水は無機質に入れません。炭素も無機質には入れません。
なお、ここからは無機質という言葉じゃなくて、全部「ミネラル」で書いていきます。
栄養として必要な量で二種類に分類
すべてのミネラルが均等に必要というわけではありません。一日の必要摂取量をもとに、「主要ミネラル(マクロミネラル)」と「微量元素(ミクロミネラル)」という二種類に分けられます。
主要ミネラルは次の7種類です。名前の後にある( )内に書かれているのは「元素記号」です。
- ナトリウム(Na)
- カリウム(K)
- カルシウム(Ca)
- マグネシウム(Mg)
- リン(P)
- 硫黄(S)
- 塩素(Cl)
これらのミネラルは、一日100ミリグラム以上を摂取することが推奨されています。
ただ、ナトリウムと塩素は「塩」ですから、通常不足することはなく、むしろナトリウムは摂り過ぎに気を付けないといけない場合があります。カリウムを摂取すると、ナトリウムの排泄が促進されるという効果があるため、積極的にとったほうが良いという場合もあります。
ちょっと横道:塩事業センターが販売している「食塩」や「食卓塩」は塩化ナトリウムが99%以上ですが「伯方の塩」、「シママース」などの塩は塩化ナトリウム以外に、塩化カリウム、塩化マグネシウム(いわゆる「にがり」)、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムが含まれています。ミネラルで言うと、カリウム、マグネシウム、硫黄も摂ることができるのですね。
逆に言うと、100ミリグラム未満でもいい(けど体内では必要)というのが「微量元素」です。9種類あります。
- 鉄(Fe)
- 亜鉛(Zn)
- 銅(Cu)
- マンガン(Mn)
- クロム(Cr)
- コバルト(Co)
- セレン(Se)
- モリブデン(Mo)
- ヨウ素(I)
このうち、「ヨウ素」は海藻に多く含まれるので、日本人の場合はヨウ素不足の心配はないといわれています。ヨーロッパの内陸部などでは、海藻を食べることがないためヨウ素が不足することがあり、食塩にヨウ素が添加されているものが売られています。
※ちょっと横道:教科書やウエブサイトでこの分け方に若干ぶれがあるようです。この記事の分類は、国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報をもとにしています。
サツマイモに含まれるミネラル
食品成分表には「焼きいも」に含まれるミネラルが次のように書かれています。これは100g中に含まれる量になります。
主要ミネラル
- ナトリウム 13mg
- カリウム 540mg
- カルシウム 34mg
- マグネシウム 23mg
- リン 55mg
焼きいもはカリウムがとても多いですね。当店の焼きいもLサイズ(約200g)を一本食べれば、カリウムは1g摂ることができます。また、リンも焼きいも一本食べると一日の必要摂取量(100mg)に足りますね。
一方で、腎臓の機能が低下している方は、カリウム、リンの摂取に制限がある場合があります。
微量元素
- 鉄 0.7mg
- 亜鉛 0.2mg
- 銅 0.20mg
- マンガン 0.3mg
焼きいもを食べることで、微量元素も摂ることができます。
まとめ
- ミネラルは有機質でない栄養素で、ほとんどは鉱物
- 一日の必要摂取量で「主要ミネラル(マクロミネラル)」と「微量元素(ミクロミネラル)」に分けられる
- 焼きいもには特にカリウムが多く含まれる
さて、ここまでで、焼きいもに含まれる「五大栄養素」(糖質、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル)について一通り触れてきました。これで一旦、栄養シリーズは区切りにします。ただ、この先「食べた焼きいもは人体で何に変わるのか」という話で新シリーズを考えています。ご期待(?)ください。