当店で、つぼ焼きいもにするサツマイモの品種がいくつかあります。今日からそれを紹介したいと思います。また、当店では扱っていないのですが、食べたことのある品種も紹介します。
ホクホク系
ホクホク系とは、多くの方が「焼きいも」と聞いて連想する食感、粉っぽく感じるため「粉質」ともいわれるものです。
当店でつぼ焼きいもにしたことがあるのは「宮崎紅」「鳴門金時」「黄金千貫」です。
宮崎紅(みやざきべに)
「宮崎」と名がつくサツマイモですが、高知県の農事試験場で開発された「高系14号」という品種から派生したものです。
宮崎県の「青果用」サツマイモのうち、生産量シェアが一番大きいのがこの「宮崎紅」です。「宮崎」という名前がついている通り、宮崎の風土にマッチしており育てやすい品種だと思います。
宮崎県では串間市大束地区の「ヤマダイかんしょ」というブランドがあるのですが、これは品種としては宮崎紅のことです。「紅寿(べにことぶき)」という名前で販売されていることもあります。
もりのね・綾でつぼ焼きいもを販売し始めたとき、最初に選んだのがこの「宮崎紅」で、名刺にドーンとうつっているのは宮崎紅のつぼ焼きいもです。
掘りたてのサツマイモの皮は水洗いすると鮮やかな紅色です。中は白っぽいですが、焼くと山吹色のような鮮やかな黄色になります。
焼くと甘い香りがして、食欲をそそります。
皮は薄めで、丸ごと食べることができます。焼き立てはまさに「ほくほく」で、栗のような食感と優しい甘さです。
一晩寝かせるとデンプンの糖化が進むことと、水分が全体になじむことで「芋ようかん」のような感じになります。
綾町では当店以外に「綾手作りアイス工房」と「綾ストア」で焼きいも機による石焼きいもが販売されています(※どちらも冬季限定)。
鳴門金時(なるときんとき)
実はこの品種も「高系14号」から派生した品種で、上で紹介した「宮崎紅」とは兄弟にあたります。
見た目、食感、甘みとも宮崎紅とよく似ています。
黄金千貫(こがねせんがん)
芋焼酎の原料として、宮崎県内では一番作られている品種です。綾町にある「酒仙の杜」のイベントで、雲海酒造綾工場で製造されている「日向木挽」の原料そのものを提供いただいて焼いたことがあります。
こちらは「宮崎紅」よりも粉っぽさが強く、甘みは弱い感じがしますが、じっくり時間をかけて焼き、焼き立ての皮がパリパリした状態で食べるととてもおいしく「これが好き」という方もいらっしゃいます。
時間が経つと、皮も中身も硬く感じられます。冷ますときに水分を保持できるように工夫すると、食べやすくなるのではと思ってまして検証中です。
この「黄金千貫」は寒さに弱く、貯蔵性があまりよくありません。なので、当店では出すとしても期間限定になっています。
紅あずま(べにあずま)
この品種は当店では焼いたことがないのですが、宮崎に移住する前、東京で食べたことがある品種なので紹介します。
今回この記事を書くにあたり調べて知ったのですが、紅あずまは鹿児島県指宿市にある九州農業試験場で「関東859」という品種と「黄金千貫」を交配したのち、千葉県四街道市の農業研究センターにて育成された品種とのことです。
黄金千貫の子孫にあたるとは知りませんでした。宮崎県ではあまり見ませんが、関東でただ「サツマイモ」として売られているのはこの品種だと思います。
というわけで、今日はここまでにしたいと思います。