商売柄、「焼き芋」に関する情報には敏感になってます。
テレビ・ラジオの番組や、インターネットの記事、焼き芋の絵本もいろいろ出ていますよね。
今日はその中でもとっておきのネタを紹介したいと思います。
焼き芋マンガ
「焼きいもブーム」の記事で水木しげるさんの「コミック昭和史」に出てきた「つぼ焼きいも」を紹介しました。
この「昭和史」に焼き芋が出てくるのはこのページだけですが、世の中にはもっと焼きいもにフィーチャーしたマンガ作品があるんじゃないかと思ってました。
そしたら、とある知り合いから素敵な本をいただいたのです。
表題作は、自宅がお風呂屋さん(銭湯)という女の子の恋物語なんですが、この作品に焼き芋は出てきません。
焼きいもが出てくる話は、この単行本に収録されている「やきいもは恋の味」という作品です。
まさに「焼き芋マンガ」です!
焼きいもと恋愛
「やきいもは恋の味」の主人公は杏子という15歳の少女。中学校三年生で高校受験勉強真っ最中です。
杏子の母親は、受験戦争に勝ち残るためにはスタミナが必要と、なぜかニンニクなどの「精のつく」夜食を杏子に食べさせます。
これがとてつもなく臭くてまずいらしく、うんざりしているところに窓の外から「やきいも」を売り歩く声が聞こえてきます。
この焼き芋売り、志郎が超好青年でして、杏子は恋心をいだくわけですが……
時代(※昭和47年の作品)なんですかね、高校受験が本当に「戦争」状態になってまして、同じクラスのかつては仲良しだった同級生の節子が、鬼のような形相で自らを追い込み勉強する姿が描かれています。
焼きいもはどう描かれているのか
この作品の中で、焼きいも(石焼きいも)はとても素敵な食べ物として紹介されています。
- 「やきいもったら何のあじ~ほかほかたのしい恋のあじ~♪」(リヤカーを引きながら歌っている歌)
- 「いいにおい…… まどを あけたとき においが ただよって きたのね」
- 「やきいもはカロリーが高くて消化にいいからどんどん食べてくださいね」
- 「口の中から味がきえちゃうと なんだか たべたことが うそみたいな気がして……」
- 「わたしはあしたも やきいもを 買おう このおいしい味をもういちど味わおう……と決心したのだ」
- 「ママきょうはお夜食作らなくていいの わたしまた やきいもを 買うから」
- 「や……うまいな やきいもが こんなにおいしいとは きみわかいのに うでがいいんだね」
- 「ぼく世界一おいしい やきいもを やくのが目標なんです」
- 「やきいもにマヨネーズやバターをつけたり牛乳をそえると栄養的価値はぐっとあがりますよ」「ピーナッツバターもなかなかいけますよ いちどためしてごらんなさい」
- 「ピーナッツバターをつけてみたら こうばしいかおりが」「わたしはおもわずさけんじゃった」「おいしい! どんな高級なケーキよりもおいしい!」
- 「土の中からほりだしたいもを なんの調味料もくわえずにただやくだけ そのやきぐあいで味がかわる 現代人が手軽に口にできる最高の自然食品だと思うんです」
とまあ、ベタほめしてくれています。
そして結末は
杏子とやきいも売りの青年は順調に進展しまして、杏子の両親からも公認の仲になります。
そして、この漫画の結末は、杏子の高校受験にありました。
杏子は寝る間を惜しんでまでする受験勉強に疑問をいだきつつも、実は自分の受験する城南高校は志郎の母校ということを知り、「たとえ一時にせよ」とリラックスして試験に臨みます。
試験終了後、落ち込む節子を杏子は遊園地に誘います。そして、自宅に招待して、母の焼いた焼き芋を食べさせると、なんと節子はピーナッツバターを付けた焼き芋を10個平らげたのでした。
その様子を見た杏子は「ママにはわるいけど志郎君のやいたやきいもの方がだんぜんおいしいんですもの」とつぶやき
「青春の記念碑」とまで称賛するのでした!
正直、焼き芋が出てくる必然性を感じなかったのですが、読んでいて心が温まる作品でした。
最後に、いつかつぼ焼きいもにピーナツバターをつけて食べてみようと思います。