スーパーや八百屋さん、直売所などに行くと、栗はオレンジや赤のネットに入って売られています。
これにはれっきとした理由があります。
栗は種を食べる農作物です。つまり「野菜」や「果物」という分け方で考えると、クルミやピスタチオ、マカダミアンナッツのような「ナッツ」に分類されます。
実際、拾いそびれた栗からは芽が出て、気が付くと幼木が畑に生えていたりします。これを数年そのままにしていると実をつけます。
この栗なんですが、実は扱いが難しい。意外と痛みやすいのです。
まず、栗は呼吸をしています。
具体的な数字は分からないのですが結構な呼吸量のようで、ポリ袋などで密封しますと栗は窒息して死んでしまいます。ネットに入って売られているのは、「栗が呼吸できるように」という理由からです。
そして、呼吸をするので熱も持ちます。
直売所でも栗は外に置いてあったりするのですが、本当は店内の涼しいところに置いてほしいなと思っています。
時間が経った栗は中身がスカスカになり持ってみると鬼皮がペコペコになっていたり、また窒息したものは茶色い鬼皮が全体的に黒くなります。
私は収穫した栗は玄米保冷庫(サツマイモの貯蔵用に13℃で設定しています)で保管して、なるべく早く、一週間以内に出荷するようにしています。
昨日の記事では、「産地では湯温処理をします」と書いたのですが、これは具体的にどうするかというと、収穫した栗を一旦80℃のお湯につけて中に入っている虫を退治し、そのあと氷温の冷蔵庫(2℃~3℃が適温とされています)で貯蔵をするのです。
※この手法は兵庫県が特許を取得しています。
貯蔵する温度は2℃~3℃というのが良いらしく、長期保存ができてなおかつ90日程度貯蔵したものは甘みが増すとされています。
我が家ではできないのですが、もしそういう冷蔵庫をお持ちの方は、お試しになるのもよいかと思います。
さて、普通の冷蔵庫で保存する場合なのですが、ポリ袋などに入れて口を開けたまま、冷蔵庫に入れておくと一週間くらいは大丈夫なようです。
ポリ袋の口を開けておくのがポイントで、こうしないと栗が窒息してしまいます。一方で販売されているときのネットのままでしばらくおくと、今度は水分が抜けてスカスカになります。また、あまり時間がたつとお尻の部分にカビが生えてきます。
傷んでいるかどうかを見分けるポイントですが、生の状態で栗の鬼皮を取ったとき、中身が黄色味がかっている物は食べられます。白灰色になっているものは固くて苦くなっており、食べられません。
やはり買った後は早めに召し上がっていただく、あるいは一度火を通した後に保存することをお勧めします。