私は「ほめる焼きいも農家」ということで、畑でサツマイモを育てるところから手がけています。
シリーズでつぼ焼きいもの作り方を書いていきますが、今日は「植え付け」についてです。
サツマイモの苗ってこんなのです
前回書きましたが、サツマイモの苗は「つる苗」といって、種イモから出た蔓を切ったものです。
私が植えるのはせいぜい4,000本くらいですので、苗を作らず買っています。ヘクタール単位(1ヘクタール=10,000平方メートルです)で作付けする農家さんの場合は10万本という感じで植えますので、買うよりは自分で育苗したほうが……となります。
ホームセンターに行くと、苗が売られていると思いますが、東京と宮崎ではちょっと売られ方が違ってました。
東京にいるとき、区民農園を借りてサツマイモを栽培したことがあったのですが、その時に買いに行ったホームセンターではサツマイモの苗がポット(黒くて柔らかい植木鉢みたいなヤツ)に一本ずつ植わった状態で売っていました。
こちらのホームセンターでは、10本くらいが束になって新聞紙に包んであったり、裸の状態で売られています。
値段も、東京のポットの方が3倍くらい高かった気がします。もしかしたら、このポットから育苗して植えるというものだったのかもしれません。
ホームセンターでは、品種にもよりますが10本で300円くらいです。綾町は育苗センターでも苗を買うことができて、品種によって違うのですが100本で1,500円~2,500円です。
私はホームセンターからでも、育苗センターからでもなく地元の苗屋さんや、知り合いの農家さんから買っています。私が栽培しているのは安納芋とシルクスイートという品種で、特にシルクスイートはまだ一般的ではないので入手ルートが限られています。
この苗なんですが、(繰り返しになりますが)要は茎と葉っぱだけです。なので、切り取ってから時間が経ちすぎるとしおれてしまいます。
植えつけるときは切り取った直後でなく、少しおいて白い根が出始めた頃がベストと言われていますが、ちょっと遅れるとしおれ始めるので植え付けはスピード勝負になります……この点でも、自分で苗を育てたほうがペースを自分でコントロールできますね
苗の植え方色々
さて、苗は等間隔で植えていかないとできるイモの大きさにばらつきができます。苗同士の間隔を空けると大きいいもがとれますし、間隔を狭くすると小さいいもになります。品質にこだわる農家さんは、この間隔でサイズをコントロールしているようです。
私の場合は、写真にある道具を自作して、苗を30cm間隔で植えられるようにしていました。
そして苗を植える、つまり土に埋める方法にも色々流儀というか、具体的には「角度」があります。
角度って何のこと? と思うでしょうが、地面に対して水平にするか、垂直にするか、斜めにするかで、三通りあるんですね。
それぞれ名前も付いています。
- 「水平植え」「改良水平植え」「船底植え」というのは地面に対してほぼ水平に植える方法
- 「斜め植え」は地面に対して45度の角度で苗を刺していく方法
- 「垂直植え」は地面に対して垂直に苗を刺していく方法
……となっています。
水平植えにすると、節が全部地面に埋まりますので、イモの数が増える一方で一つ一つの大きさは小さくなります。
垂直植えにすると、地面に埋まる節が少ないので芋の数が少なくなります。ただ、少ない節数の苗でも植えられますので、通常は10節ある苗を半分にして植えることができます。
斜め植えは、水平と垂直の中間で、こちらでは一般的な植え方です。
斜め植えをするための道具というのもありますが、笹を切って自作したりもします。斜め植えをすると、地面に深い部分の根にはイモができないようです。
さて、この苗を植えるのに必要な時間ですが、植え方によって違います。
斜め植えですと、1時間で100本くらいです。
これが水平植えになると50本くらいになります。マルチを張っている場合は、蔓の長さ分マルチを裂いてから植えることになるので、その分時間がかかるのです。
なので、苗の状態が良くて時間に余裕がある場合は水平植え、苗が少ししおれて来たり、時間に余裕がない場合は斜め植えにします。
苗を植える話だけで意外と長くなりました。最後までお読みくださいましてありがとうございました。次回に続きます。