私は「ほめる焼きいも農家」ということで、畑でサツマイモを育てるところから手がけています。
シリーズでつぼ焼きいもの作り方を書いていきますが、今日は「いもほり」についてです。
土が硬い
子供のころの記憶をたどると、いも掘りといえば素手か軍手で土をかき分け、埋まっているいもを探り当てていたという思い出があります。
それは間違いではないのですが、大人になって、仕事としていも掘りをしてみますと、意外と土が硬く、掘りだすのが大変だと思いました。
子供のいも掘りは一株~二株をじっくり10分くらいかけて掘り出すわけです。半分以上は土遊びですよね。
これが仕事となると1,000株単位でやっていくのですから、スッと抜けて欲しい。一株ずつゆっくり丁寧に掘り出していたら時間がいくらあっても足りません。
そこで、まずはじめに「つちをゆるめる」ということをします。
私がサツマイモの栽培を始めたときは、スコップを使ってえっちらおっちら掘っていました。昔むかしは、鍬(くわ)を使って掘ってたようです。
これは本当に時間がかかりました。ある年は、あまりに時間がかかりすぎて、クリスマスが来てもまだ掘り切れなくて、結局土の中でサツマイモを腐らせてしまいました。
前回書いたマルチ剥がしでも使った、トラクターに装着する「鋤(すき)」を手に入れまして、作業スピードがものすごく速くなりました。
ここでも雑草との戦いが……
この「鋤」を使うときなんですが、あることで何度も作業を中断させられていました。
それは雑草が絡んでしまうことなんです。
畝の間に生えている雑草は、蔓切の時に一緒に刈っているのですが、完全にバラバラになっているわけではなく、茎が絡まり合っている状態です。
この上で鋤を引っ張ると、草が絡むのです。
絡んだ草は雪だるま式に増えていきまして、しまいにはトラクターが前に進まなくなります。この時点で「まずい」とおもってバックしようとしても、今度は俵のようになった草を乗り越えることができなくなります。
こうなると厄介なのです。
トラクターから降りて、絡んだ草をどうにか取ろうと格闘が始まります。鎌で切ってみたり、最後は鋤をトラクターから外して、再度付け直すこともありました。
きちんと雑草管理がされて、蔓もバラバラに切れている状態であれば、こんなことに時間をとられることもないのですが……まったくお恥ずかしい限りです。
最後は手掘りです
鋤は土をゆるめるだけですので、このあと本当のいも掘りが始まります。
ただ、これはとても簡単。サツマイモの半分くらいは土から出てきてますので、株元をつかんでスッと引っ張ると簡単に抜けます。
抜いたサツマイモは元の場所に置いたままで、隣の株を引き抜き、また隣の株を引き抜き、と畝の一列分を全部引き抜きます。
引き抜かれて地面に並ぶサツマイモを見るとやっぱり嬉しくなります。
あとはこれをとりあえずコンテナに入れて、コンテナは軽トラックに乗せて運びだせば作業終了です。おおよそですが、一つのコンテナに20キログラムくらい入ります。
基本的に作業はひとりでやってますので、車をコンテナの近くに寄せる→車から降りてコンテナを載せる→再び車に乗り隣のコンテナの近くに寄せる、という一連の動作を繰り返します。このときは「もう一人いるだけでものすごく効率あがるだろうな」と思います。
良くある質問
この話をすると、多くの方からきかれるのが「機械は使わないんですか」という質問です。
いも掘りの機械はあります。町役場で「ポテカルゴ」という専用機械を貸し出してもいます。
これは掘りあげて選別してコンテナに入れるまでを一気にやってくれるのですが、オペレーターが3人必要です。一人じゃ使えないんですね(苦笑)
収穫は楽しいのは楽しいのですが、同時に重労働でもあるんです、というお話でした。