2015年3月に放送されたNHK「あさイチ」で「第4次焼きいもブーム」という特集が組まれて、当時は友人から「テレビで焼きいものことをやってる!」とメッセージをいただいたりしました。
テレビってすごいなーと思いました。
さて、第4次ということは、第1~第3があるということです。今日はその話です。
第1次焼きいもブーム
これは江戸時代後期、種子島に(二度目の)伝来をしたサツマイモが当時貴重品だった砂糖に比べて「手軽に食べられる甘味」ということで人気になりました。
「栗よりうまい十三里」は今でも残る名キャッチコピーです。
サツマイモの伝来は17世紀初頭に沖縄に伝来したのが初めてなのですが、本格的に栽培されるのは17世紀末で、この頃と第1次焼きいもブームが重なります。
当時は「かまど焼き」といって、かまどの上に平たい鉄鍋を置いて、その上にサツマイモを載せて焼いたそうです。
京都の有名店「丸寿(まるじゅう)」、「林商店」はかまど焼きです。
写真は林商店のフェースブックページから転載しました。
※林商店は2016年に閉店しました。
第2次焼きいもブーム
明治時代から関東大震災にかけてが第2次と言われています。
東京には沢山の「焼きいも専門店」ができたそうで……ただ、関東大震災でこのかまどが壊れてしまい、半強制的にブームが終わってしまいます。
実は関東大震災の後に登場したのが「つぼ焼き」。
当店「もりのね・綾」でやっている焼き方です。かまどから比べるとだいぶ手軽なことと、つぼのスタイルが当時はモダンに感じられたそうです。
余談ですが、水木しげるの「コミック昭和史」という漫画に、幼いころの水木さんが焼きいもを買ってもらうシーンが描かれています。
ご覧の通り、水木少年が買ってもらったのは「つぼ焼きいも」です! このページを見つけたときには嬉しかったです。
当時から残っているつぼ焼き屋さんでは、埼玉県の川越にある「平本屋」が有名です。
第3次焼きいもブーム
これは戦後、1950年代に入って「石焼きいも」の行商が始まったのがきっかけです。軽トラの「いしや~き~いも~」ですね。
元祖は東京都墨田区の三野輪万蔵氏で、軽トラックではなくリヤカーで引き売りしていたそうです。
第4次焼きいもブーム
平成に入って、箱型の「石焼き芋機」というのができました。スーパーやコンビニで見かけるあれです。
熱源もガスや電気を使いますので、それまでの石炭、薪から比べたら扱いやすく安全です。というわけで、再び「売りやすく、買いやすく」なり、ブームになったそうです。
綾町で焼き芋を買えるところは当店を含めて3店舗あるのですが、当店以外はこの「石焼き芋機」を使用しています。
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また、「安納いも」「紅はるか」などの甘みの強い品種が出てきたこと、健康志向で砂糖を使った菓子の代わりとして好まれるようになったことも、ブームの背景にあるかと思います。
こうして振り返ってみると、ブームは「焼き方」「売り方」の移り変わりとともに起きているのですね。
「つぼ焼きいも」は古い焼き方なのですが、一度廃れたこともあって逆に新鮮に見えるようです。「懐かしい」とおっしゃる方もいます。
私の場合も、商売を始めるときにつぼ焼きいもにした理由のひとつは「あまり見かけない、珍しいから」でした。
もちろん、もう一つの理由は「食べて美味しかったから」です!