昨日は甘味の話でしたが「焼きいも」というと、あの甘い香りも魅力ですよね。当店でも、この香りが宣伝として大いに役立っております。
この甘い香りは何という成分の匂いなんでしょうか?
匂い成分を調べる
焼きいもの匂い成分は、1970年ごろにおもにアメリカで調べられたそうです。なんかちょっと意外な感じがします。
その調査方法とはガスクロマトグラフィーと質量分析装置という化学系、環境系の方にはおなじみの装置を使ってするそうなのですが、店主もよくわからないので説明しません。
わかっている結果だけ簡単に書きます。焼きいもの匂い成分は、「サツマイモが生の状態からもっている匂い」と、「焼いていく過程でできる匂い」の大きく二種類に分けられます。しかし、細かく見ていくと「こういう物質の匂い」という決まったものはなく、いくつかの物質の匂いが混ざっているのだそうです。
その中でも、「サツマイモが生の状態からもっている匂い」成分は「フェニルアセトアルデヒド」という物質などが含まれており、「焼いていく過程でできる匂い」成分は「マルトール」という物質などが含まれています。
いやいや、「フェニルアセトアルデヒド」「マルトール」と言われましても……と思いましたので調べてみました。
Wikipedia情報になりますが、純粋なフェニルアセトアルデヒドの匂いは「蜂蜜のよう」、「甘い」、「バラの香り」、「みずみずしい」、「草の香り」とたとえられるそうです。
「マルトール」のほうはカラメルの匂いだそうで、サツマイモから出る「蜜」が焦げる時の匂いですね。
匂いと味の関係
ここで急に「美味しんぼ」の話になるんですが、ずいぶん昔に「栗田さんが風邪をひいて匂いが分からなくなったら、ご飯が全然おいしく感じられなくなった」というエピソードがありました。
また、今度は急に「かき氷」の話になりますが、上にかかっているシロップの定番「いちご」「メロン」「レモン」「ブルーハワイ」などの味の成分は全部同じなんだそうです。違うのは色と香りなんだそうで、この事実はインターネットではちょっとした話題になりました。
何が言いたいかというと、焼きいもの味は香りと密接な関係がある、ということなんですね。
当店でも、つぼ焼きいもを焼いているときは、香りが辺りに満ち満ちて、幸せな気分に包まれるわけですが、残念ながら火を消すとその香りは少しずつ弱くなっていきます。
開店当初は、この香りを維持したいがために、 サツマイモをずーっとつぼに入れっぱなしにして焼いていたことがありました。
※ちなみに、この「焼きいも」は半ば炭と化し、硬くて食べられませんでした。
時間がたった焼きいもは、そのままでは確かに香り立つことはないのですが、ぜひ、一口入れたらよくかんで味わってみていただきたいです。
そうすると、体温でほんのり暖められた焼きいもの香りが口の中に広がり、よりおいしく感じられると思います。