食べ物、特に素材をそのまま食べるようなものには「旬」があります。
つぼ焼きいもにも「旬」というのはあるのでしょうか?
焼きいもの「旬」はサツマイモの「旬」
秋の声が聞こえだす9月になると「焼きいもはありますか?」というお声をいただくことが増えてきます。
当店では、原則的として年中つぼ焼きいもを販売しておりますが、実は焼きいもにも「旬」はあります。
焼きいもの旬は、サツマイモが美味しくなる(甘くなる)時期とほぼ同じです。
いまでこそ、ほぼ年中サツマイモを買えますが、旬はあります。
なんでも「採れたて」がいいわけではない
宮崎県では、大体7月からその年に栽培されたサツマイモが出回り始めます。
「早掘りかんしょ」といって、市場価格も高めになるということでビニールハウスやトンネル栽培をされている農家さんがいます。
この「早掘りかんしょ」は、食感としてはホクホク、甘さ控えめのさっぱりとした感じで、サラダなどにして食べるのに向いているように思います。
言い換えると、焼きいもにしてもあまり甘くないです。
サツマイモの栽培は、普通は5月~6月にかけて植え付け、約4か月弱で掘りあげるのが「標準的な栽培」とされています。
そうすると、9月~10月にかけて掘りあげたのが、一番普通の栽培になります。
しかし、
この掘りたてのサツマイモは、やはりあまり甘くないのです。
サツマイモの甘さは、デンプンが糖に変わること(「糖化」といいます)で引き出されるのですが、掘りたてのサツマイモだとこの糖化が進んでいません。
宮崎紅のような「ほくほく系」の品種の場合、粉っぽく感じますし、安納芋のような「ねっとり系」の品種の場合、水っぽい感じがします。
貯蔵しすぎると、味がぼける
実は、茨城県にある「JAなめがた」では、このサツマイモの甘さが時期によってどう変化するかを調べていまして、ホームページで公開しています。
品種によって「旬」の時期は違うのですが、例えば「紅まさり」という品種の場合、11月~3月が美味しい時期とされていました。
私も、実食しての主観的な感想になるのですが、「紅はるか」や「安納いも」は、少し味がぼやけたような、気の抜けたような甘さになるものが出てくると思います。
一方「宮崎紅」のようなホクホク系の品種だと、貯蔵期間が長いほうが甘味は増すように思ってます。極端な話、うまく貯蔵すれば1年前の物のほうが甘いかもしれません……そういう意見を耳にしたこともあります。
ズバリ、焼きいもの「旬」は?
長々と説明してきましたが、そろそろ結論です。
ずばり、焼きいもの旬は冬の間、12月~2月の3か月間がベストと、店主の独断で言わせていただきます。
上に書いたように品種によって変わっても来るのですが、「焼きいも」の場合は、純粋なサツマイモの旬に加えて気温などの「食べたくなる」要素を加味して、この時期が良いと判断しました。
ご参考になれれば幸いです。