私は「ほめる焼きいも農家」ということで、つぼ焼きいもの作り方を綴っています。
いよいよ今日は、サツマイモを焼く工程です。
基本的に時間、手触りで確認
つぼ焼きいもは割と失敗のない、簡単な焼き方だと思います。
温まったつぼの中にサツマイモを吊るして、約1時間焼くとできあがります。
ただ、これはサツマイモの大きさ(太さ)などでも変わってきます。細いサツマイモは早く焼けますし、太いサツマイモは時間がかかります。
そこで、20分ごとにつぼのふたを開けて、サツマイモの向きを変えながら一本一本焼け具合を確認していきます。
つぼ焼きいもの焼き上がりの目安は持った感じでわかります。
はじめは焼け具合がわからなかった
いまでこそ、持った感じで大体わかりますが、開店当初は焼け具合というのがなかなかわかりませんで、竹串で刺してみるという方法でやったこともあります。
これには失敗談がありまして……
焼きいもを開店する前に練習をしていたのですが、その時に使っていたサツマイモは小さめサイズで火の通りも早かったのです。30分もしないで焼きあがっていました。
「大きさで焼き上がり時間が変わるかもしれない」ということも考えず「これで大丈夫」と高を括っていたのですね。
いざ開店して、あるお客様が来てお買い求めくださったのですが、翌日「中がまだ生で食べられなかった」と言ってくださいました。平謝りでした。
実は、この時に販売したのは今まで練習していたものと直径で言えば倍、いもの断面積でいえば4倍のサイズです。当然時間もかかるのですが、当時はそのことには気がついていませんでした。
これを反省にして、最低時間がどれくらいか、逆にどれくらいの時間までつぼに入れっぱなしにできるのか、色々試すことにしました。
焼き上がりの判定方法
先程「焼き上がりの目安は持った感じでわかります」と書きましたが、具体的にはどうやって判定しているかというと、皮の状態で見ています。
焼きいもは、火が通ってくると皮と中の身の部分に隙間ができるのです。
なので、持った時に一瞬「ペラッとした感じ」というか、生のサツマイモの硬さがなくなるんですね。
細いサツマイモですと40分でこの感じになりますし、太いサツマイモは60分でも「まだかな」と感じることがあります。もちろん「まだ」の焼きいもはさらに焼いてきます。
いつまでつぼに入れていられるのか?
当店では、つぼ焼きいもは焼きあがったらつぼから出して焼き印を捺して包み、店頭に並べていきます。
店頭に並べるとどんどん冷めていってしまうのですが、つぼに入れっぱなしにしていないのには理由がありました。
特に「宮崎紅」のようなホクホク系の品種は、加熱しっぱなしにすると水分がどんどん抜けていき、皮も硬くなり、モソモソした食感から最後は炭のように硬くて食べられなくなるのです。
これを避けるために、長くても80分でつぼから出すようにしていました。
ただ、「紅はるか」や「安納」のような水分の多い品種ですと、炭になる程硬くなるまでには時間の猶予があることがわかりました。そこで、この「時間が来たら加熱をやめる」ことに関しては見直してもいます。
また「60分焼いた場合」と「80分焼いた場合」で焼き加減がどう変わっていくのか、ということも実験してみましたが、それはまた別の機会に書く予定です。
というわけで、つぼ焼きいもの焼き方の話でした。